辛晩的スペシャルレビュー
  
  

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CMのないファーストフード
〜とろける美味しさ・クリスピークリーム〜

Krispy Kreme フローレンス店

できたてドーナツのとろける美味しさ♪
赤いネオンサイン点灯中
 突然だが、Haruは甘いものが苦手である。にも関わらず、クリスピークリームのハニーデップドーナツ「グレーズ」だけはどうしても食べてしまうのである。
 このドーナツ、クローガーやマイヤー、ガソリンスタンドあたりにも売ってある普通のドーナツなので、ご存じの人も少なくないと思う。

 しかしクリスピークリームのお店で食べるできたての「グレーズ」は全く別格なのである。 とにかく絶妙な甘さのフワフワさくさくドーナツが口の中で消えていくように柔らかいのである。

ダイエット中のアメリカ人女性の同僚にうつろな目で「お腹いっぱいクリスピークリームのグレーズが食べたい」と言わせるだけのことはある美味しさなのだ。

 この極上ドーナツを確実に食べるには、朝夕の混雑した時間に買いに行く必要がある。なぜならこの時間こそ、できたてドーナツが次々とベルトコンベヤから流れてくるホットドーナツタイムなのである。

 この時間にお店に並んでいるお客さんには、できたてドーナツが無料で振る舞われる。

 このドーナツタイムは外に赤いネオンサインが点灯するので一目瞭然だ。
 これを見て、あたかも裸電球に引き込まれる蛾のように、お客さんがお店に引き込まれていくのである。

クリスピークリームの歴史
 このドーナツチェーンは創業者のVemon Rudorphがニューオリンズで知り合ったフランス人からドーナツのレシピを購入したことから始まる。
 1937年、ノースカロライナ州ウィントン・セーラム(ちなみにこの街の名前がメンソールタバコ「セーラム」の由来なのである)のスーパーにドーナツコーナーを開いたのが1号店となる。
 このドーナツの美味しさの評判はすぐに小さい街中に広がった。やがて「できたてを食べたい」という要望に応え、工場の壁の一部をくりぬき、そこからできたてのドーナツを売るようになるのである。

 やがてチェーン店として徐々にお店の数は増えて行き、現在のお店の数は世界中で460店舗ほど。ボストン出身のダンキンドーナツに次ぐ全米No.2のドーナツチェーンである。まもなくアジア一号店が韓国ソウルにオープンする予定である。

CMのないファーストフード
 このクリスピークリームの営業方針はかなり独特である。なぜならテレビや雑誌でCMを全くやっていないのである。  いくら美味しいドーナツとはいえ、CMなしで全米規模のチェーン店を維持できるのか不思議なところだが、その販売戦略は「子供のボランティア」を利用することなのだ。

 アメリカではクラブ活動やボーイ/ガールスカウト活動などは、日本のように親や自治体が予算をだすのではなく、自分たちでお金を稼ぐのが原則である。
 そこで子供たちはファンドレイジングと呼ばれる一種のアルバイトにせいを出すのである。
 このアルバイトは、要は一個30円ぐらいのチョコレートやキャンディーを大量に買ってきて、 子供のスマイルで一個100円で売るというたわいないものだが、つぶらな瞳で

おにいちゃん、一個でいいから買って

と見つめられると、つい買ってしまうものである。

 このファンドレイジング用にクリスピークリームのお店は半額以下でドーナツを卸してあげるのである。 すると無垢な子供たちがこのドーナツをあちこちで売りながら営業してくれるのである。
 かくしてダンキンドーナツの値段の倍もするドーナツがどんどん口コミで広がっていく
のである。

 ま、コムズカシイことはともかく一度できたてを食べてみてほしい。 シンシナティなら フローレンス店、 レキシントンなら リッチモンド店が最寄りのお店になる。

 ただしグレーズ一個で200カロリー(ごはん茶碗一杯分)あるので、各自自己責任で食べるように。(笑)

記事掲載 2004年11月8日

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