中西部の有名アメリカンレストランと言えば、アンティークでクラッシックな内装にボリュームたっぷりのステーキ、マッシュポテト、オニオンフライにチーズ満載のサラダというのが
典型的なパターンなのだが、この"Jag's"はむしろ素材の旨みを活かしたヘルシーでライトなアメリカ料理を出す新しいタイプのお店だ。
オハイオ出身の女性シェフ ミッチェル・ブラウンにとっての初めてのお店がこの"Jag's"で、都会的なセンスで新鮮な素材を調理する彼女のコンセプトは「シカゴの草原とボストンの海原が出会うレストラン」らしい。
白をベースにした店内は清潔で明るい雰囲気。 入って正面にはいきなりシーフードバーがあり、その左にはピアノバーがある。 正面の右手とその奥が一般のお客さん用のフロアで、広すぎず狭すぎずといった感じだ。
さてこのお店の料理はお勧めがいっぱいあるのだが、まずはマウイオニオンスープ($7.00)から。
ハワイ産のマウイオニオンの甘みにチーズの風味、それにスパイスと塩味がほどよく効いたブイヨンが絶妙の美味しさを作り出している。
一度食べたらひたすら無口になってしまう味だ。
次のお薦めはシーフードプラッター($12.00)、軽く火を通した新鮮な海老、貝柱、ムール貝をガーリッククリームソースで頂く一品。 とにかくこれらのシーフードは日本人でも文句なしのの鮮度。
とにかくプリプリで柔らかくて、そしてほのかに甘い。 ソースで食べてもレモンで食べても本当に美味しい。
サラダはナポレオンモッツァレラサラダ($5.00)、新鮮な野菜と新鮮なモッツアレラをバルサミコ酢のビネガードレッシングで頂く。
このサラダも上出来だがこのサラダにトッピングされる揚げたチーズがいい感じだった。 カリッとしたチーズにほどよい塩分が効いていて、ワインとの相性は抜群。
そしてメインデッシュは南米チリ産のシーバス($25.00)が絶対のオススメだ。
要するに「スズキの塩焼き」なのだが、この料理はそんな普通の「焼き魚」のイメージとは大違いで、「上質な油でカリッと焼き上げたシーバスの表面を特上の塩と胡椒がしっかりと引き締める。 しかも中は新鮮な白身魚特有のほのかな甘みに崩れるような柔らかさ」の美味しさなのだ。
この完璧なバランスの前にはマイ醤油もポン酢も出番は無し。 こんな美味しい魚料理をシンシナティで食べられることにただ感謝するのみである。
このお店のもう一つの目玉は「神戸ビーフ」だ。 実際は神戸から輸入しているのではなく、神戸ビーフの育て方を学んだアメリカの牧場が作っているらしい。
この神戸ビーフを使ったメダリオンステーキ($33.00)はさすが神戸ビーフと名乗るだけのことはあってテロテロの柔らかさでアメリカのステーキに慣れてしまったHaruには新鮮な驚きだった。
ただ残念ながら味付けが気にくわない。 シイタケの戻し汁にバターを溶いて醤油で味付けした出来損ないの中華料理みたいな味で、せっかくのお肉が台無しだ。
でもこのお店の最高級メニュー・神戸ビーフのフィレミニオンステーキ($49.00)は塩胡椒だけの味付けみたいなので(隣のビジネスマンが食べてました...)、神戸ビーフ本来の美味しさが味わえるかも。(でも高い!)
サービスは明るくフレンドリーだけどキッチリしていて快適。 いろんな質問にも丁寧に答えてくれるし、冷めたパンは暖かいのにサッと取り替えてくれるようなサービスもいい。
そう、"Jag's"は値段も安くないし小さな子供連れやカジュアルな服装もダメだけど、何かの記念日のような特別な夜には素敵なディナーを約束してくれるレストランなのだ。
少なくともHaruにとってはシンシナティ初の★★★★★のお店だと思う。